足を踏み入れて2か月、ゲーム翻訳の世界

学び・気づき

プロフィールページも更新してみたのですが、私、渡邉は修士課程終了後どこにも就職をせずフラフラと、お声がけいただける場所で働かせてもらっています。

その一つにインディゲームの翻訳があります。

本記事では、私がゲーム翻訳の世界に足を踏み入れて感じたことをブログ的に記録しておきたいと思います。

はじめに

私は、学部一年次に翻訳学概論という授業を受けていました。その授業の最終課題が、自分の好きな本を翻訳し、自分の翻訳について理論を持ち出し説明する、というものでした。

私はその課題に取り組んだ時、翻訳とはなんてワクワクする作業なんだ!と感動しました。

お気に入りの本の内容を自分の言葉で綴れることに、単純に感動したのです。

それから翻訳という仕事に惹かれ焦がれて勉強を続けていました。

そんな私が今回、24歳にして初めてお仕事として翻訳をさせてもらえて、6年越しの夢が叶ったのです。

「翻訳たのしい!趣味の域を出た翻訳たのしい!今紡ぐ言葉が人の目に触れる…って思った瞬間の高鳴る気持ちは麻薬的だな!」というのが、率直な感想でした(笑)。←自分のTwitter から引用しました(笑)。

ゲーム翻訳はトップダウンの世界?

ゲーマーの世界

まずゲーム翻訳は楽しいというのが第一印象だったのですが、もう一つ、駆け出しゲーマーとしても気づいたことがあります。

ゲーム翻訳をされている方々には、生粋のゲーマーが多いということです。

ゲームの紹介文やプレスリリース、UI* になじみがあるだけでなく、例えば「エルフって大体こういう話し方をするよね」とか、「こういう攻略ゲームではこんな言葉遣いがゲーマー心を煽るかな」とか、そういったことを知っている人しかいない印象を受けました。

UI …ユーザーインターフェース。ゲームの場合は「ゲーム開始」「ここをタップ」など。

もちろん翻訳において言語能力が大切であることは言うまでもありませんが、クリエイティブな翻訳の分野では世界観を知っていることの重要性が非常に高いことを実感しました。

以前、ゲーム会社に勤める友人に話を聞く機会があったのですが、彼は「ゲーム業界はある意味閉じている」と言っていました。

というのも、その友人はローカライズチームに所属しているのですが、同じチーム内にいる人たちに前職をたずねると大体翻訳や言語ではなく、「ゲーム」にかかわっているそうなのです。

トップダウン式の理解

外国語教育や、読解ストラテジーの分野で「トップダウン式」のインプットってありますよね。学習中の言語で書かれた文章を読む際、背景知識や自身の経験と結び付けるとより深く、効率的に理解ができるという考え方です。

読解だけでなく、翻訳にも同じことが言えるのではないかと思います。読んで理解するプロセス、そしてそれを別の言語で表現するプロセスの両方において、文脈を知っていること、背景知識があることは言うまでもなくアドバンテージになることでしょう。

高い言語能力なくしても、文脈が分かっていれば第二言語を理解できてしまったり、ある意味で正しい訳出ができる可能性がありますよね。

反対に、高い言語能力があれば、例えば全く知らない攻撃スタイルの説明文も正しく訳すことができると思います。

最近、翻訳という作業をする際の言語能力専門知識のせめぎ合いというか、バランスを考える機会がよくあります。

背景知識があまりなくてもうまく訳せてしまう文書ってどんな文書なのかなぁなんて、考えたりもします。

分野によって双方の重要度の比重が変わると思いますが、こんな小さなことでも考えることはたくさんあるなぁと、怒涛の納期前を過ごしてやっとゆったりとした頭でぼんやりと考えていました。

最後に

最後に、本題とはそれほど関連しないのですが、最近「中二病コーパスを作りたいなぁ」なんて考えています。

単純に面白そうだというのが動機ではありますが、RPG の中二病っぽいキャラクターのセリフを集めたりすれば、絶対に今後ゲーム翻訳をする際に使えると思うんですよね。

「ゲーム業界は閉じている」からこそ、コーパスがあれば私のような新参者にとってはすごくありがたいとも思います。

少し前に「古文にする」という言語内(と言えるのか?)翻訳システムがTwitter を騒がせましたが、私はいろいろなテクストを中二病にしたいです。(ハム太郎→燻製肉太郎の変化はセンスが良すぎましたよね。私も自分のツイートを入れてみたりして、かなり楽しませてもらいました。)

共感してくださった方はぜひ、一緒にコーパスを開発しましょう(まだそんな技量はないので半分冗談ですが…半分本気です)。

ブログ的な軽い記事になってしまいましたが、PTC の活動はいまだひっそりと続けております。

今後もゆるく記事を更新してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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