「重言」について考える

翻訳・ことば

本記事ではカタカナ語が含まれる重言について翻訳の観点から考えてみます!

重言とは

まずは重言の定義を見てみましょう。

重言(じゅうげん、じゅうごん)は、「馬から落馬する」「頭痛が痛い」のように、同じ意味の語を重ねる日本語の修辞技法である。 意味を強調したり語調を整えるため、あるいは理解を確実にさせるために用いられる場合もあるが、しばしば誤用と見なされる。 二表現、重複表現ともよばれる。 (wikipediaより引用: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8D%E8%A8%80 )

「馬から落馬する」とか、聞いたことありますよね!「各国ごとに」(「各」と「ごと」が同じ意味)とか「一番最初に」(「一番」と「最」が同じ意味)なども、意味が重なっている表現、重言と言われます。

そもそも言葉の誤用って?

今回なぜこのような話題を取り上げたかというと、翻訳をしていると気づきにくい重言に度々出会うからです。つまり、英語を理解し日本語でそれを表現しようとした時、無意識のうちに意味の重なった表現を作り上げてしまうことがあります。

また、最近では特にビジネスの場面などで英語がそのままカタカナ語となり入ってくることが増えていますよね。それにともないある重言が許容されるかどうかの境界がより難しくなってきているように感じます。


そもそも重言というのは新聞社でもそれぞれが違った基準を設けているように、強調または確実な理解を促すための修辞とみなされ許容されるか、意味の重なりであり言葉の誤用だと見なされるかはあいまいなところです。 )

例とともに考える

ここでは誤用と見なされる重言に注目してみます。

例えば:

You can enjoy the jazz live show at the restaurant!

訳)あのレストランでは生のジャズライブが楽しめるんだって!

みなさんはこの訳をどう思われますか?あまり気にならない方もいるかもしれませんが、ライブというのはそもそも「生」のものです。

改)あのレストランではジャズライブが楽しめるんだって!

これで元の文の意味は伝わっているわけです。
↑上記の「あまり気にならない方」と書いたのは筆者自身もよく聞いた時は気づかなかったからです。ネイティブレベルでないと気づけない、言葉そのものの意味ってありますよね。

他に挙げるとすれば

「リゾート地」「製造メーカー」「キリスト教の牧師」「思いがけないハプニング」などがあります。どれも考えてみると、カタカナの単語の意味を知らないもしくは考えていないことから作られている表現のような気がします。リゾートはそもそも場所を指す言葉だし、製造ってメイクしてるからメーカーなのは当たり前だし、キリスト教にしか牧師さんっていないし、ハプニングはそもそも思いがけないものだし…といった具合です。

カタカナ語の増加にともなう許容基準の難しさ

以上、カタカナ語が含まれる重言を見てきましたが、最初に掲載したWikipediaの定義にもあるように、重言は必ずしも避けなければならない表現というわけではありません。強調するため、または読み手の確実な理解を促すために使える修辞技法でもあるのです。

そう考えると、カタカナ語(=英語の単語)の意味があまり広まっていない状況でカタカナだけで使ってしまうよりも、リゾート地などのように日本語で「土地だよー」ってわかるようにコンビネーションを組ませた方が、その言葉はより多くの人に理解されるのかもしれません。


(書いて、proof readしてもらった時に「コンビネーションを組む」も重言じゃない?Combinationってそもそもが組み合わさったものやん。と言われ、ハッとしました(笑)まったく気づかなかった。 正しくは「コンビネーションにする」かな?あえて残します(笑)) )

ただ、私たちのようにアマチュア翻訳者であっても日々英語そのものに触れ、日本語と行き来している身としてはどの単語がどの程度一般の人たちに受け入れられているかを把握するのは難しいところです…。

はっきりとした結論はないのですが、言葉って日々変遷していくもので、その変遷の様子をチラチラと伺いながら言語間を行き来するのが翻訳者なんだなー、と考えたりします。

まとめ

話がだいぶ翻訳の方にそれましたが、今回はカタカナ語が含まれる重言について考えてみました。カタカナ語が入ってくると、その言葉がどれほど日本において浸透しているのかを見極めるのはすごく困難です。しかも、最初こそ、この単語は浸透していないと考えて日本語と組み合わせて使用していたとしても、5年後には常用語になっていることもあるのです。

誤用とみなされる重言を眺めているだけでも、「私普段これ使ってたわ!」とか、ハッとすることがあるのではないでしょうか(笑)。私は重言リストを眺めているだけでも「なるほどー!確かに。」と思い、ちょっと楽しかったです。参考にさせていただいたウェブページなど、下にリンクを貼っておきます。

参考:
あなたは間違ってない?アナウンサーも間違える、日本語の二重表現
[重言のいろいろ]   http://www5a.biglobe.ne.jp/minnami/link26.html

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