2種類の you – 二人称 vs 一般人称

翻訳のあれこれ

こんにちは!

you って、「あなた」と二人称を示す場合と、「人は誰でも~」と一般的な人々を示す場合がありますよね。

私もそのことはもちろん知っていますが、普段なんとなく読んでいるんですよね。

翻訳をしている時に、私が原文を勘違いして読んでしまっていた部分がありました。

本記事では、二人称の you と一般人称(総称人称)の you の見分け方を考えていきたいと思います。

そして、どちらの you かを判断した後に、「あなた」または「人々」と訳出をするのかまたは省略するのか、という翻訳の問題についても考えてみようと思います☺

余談: 「一般人称」と「総称人称」という呼び方ですが、私の英文法用語の知識では、このふたつの間に違いがあるのかはわかりません。ですが、Google検索で「一般人称」の方がより多く使われていた(「総称人称」の約34倍多くヒットした)ため、以下では「一般人称」を採用します。この際フレーズ検索と呼ばれる、インターネットをコーパスとして利用する(Web as corpus)方法を利用しています。Web as corpus の手法は翻訳する際にはもちろん、文章を書く際にかなり有用なスキルなのでまた別の記事でご紹介できればと思います。

例① 一緒に考えてみてください☺

1つ目の例は、最近読んでいる4コマ漫画です。

ふたりで翻訳をしてみて、話し合いました。

黒髪の主人公がネイト、モコモコ頭のメガネの子はフランシスと言います。ヤードセールに行った時の一場面です。

(筆者訳です。拙い訳で申し訳ありません。)

出典: Big Nate / Lincoln Peirce (GoComics: https://www.gocomics.com/bignate/2020/08/24

フランシスが “YARD SALES ARE USUALLY JUST JUNK.” と言っていますね。

それに対しネイトが “YOU SEE JUNK BECAUSE YOU LOOK FOR JUNK!” と返します。

私はこれを読んだ時、直感で、ネイトがフランシスに向かって一般論を語っているのだと思いました。ですが、お互いの訳について話し合っている中で、「これはネイトがフランシスに直接語り掛けているんじゃない?2人の会話のシーンだし…」と言われました。

私は会話であっても一般人称の you を使うことはある!と思い納得できず、というか、この判断って何を基準にすればいいんだろうと不思議に思ったので英語が母語の教授に聞いてみました。

結論から言うと、これは一般人称ではなく二人称の you だそうです。理由は、ネイトのセリフが直前のフランシスの意見に直接言及している、つまり、会話の内容が具体的であり一般論ではない、と判断できるからです。

一般論の場合は例えば “you see what you see”など、もっと抽象的な話になるようです。

なるほど。

また、you を people に置き換えても文が不自然でなければそれは一般人称である、というアドバイスもいただきました。ひとつの判断基準になりそうです。

では、訳例としては

You see junk because you look for junk.
君がゴミばかり探しているからゴミしか見つからないんだよ。

といったような感じですかね?

例② 一般人称の you

もうひとつ例を見てみましょう。

Rich 20 Something (Daniel DiPiazza 著, 2017) というビジネス書からの例です。

下線部分の you に着目して読んでみてください。

Everything in our lives is brilliantly designed to keep us coming back for more―while getting less and less done. It’s almost impossible to avoid. This isn’t an excuse to fall into Candy Crush oblivion and never return; it’s just a fact. The technology you use every single day is designed to drain your focus and decrease your attention span. (p. 47)

[筆者訳例]
我々の暮らしのすべては、同じ行動を繰り返すよう見事に設計されている。成果がどんどん少なくなるような行動だ。それを避けることはもはや不可能に等しい。でも、キャンディークラッシュの世界に入り込んで戻ってこない言い訳にはならない。これは、ただの事実なのである。(あなたが)毎日欠かさず使うテクノロジーは、(あなたの)集中力をそいで、(あなたの)注意力を持続させないようにできているのである。

前のセクションのアドバイスに従えば、ここでは会話の相手もおらず、既出の具体的な意見に言及しているわけでもありません。また、「人々は一般的に~」と主語を入れ替えても通じそうなので、一般人称の you といえるでしょう。

では一般人称であることを把握した上で、訳出について考えてみましょう。

以前ノンフィクション分野の実務翻訳者の先生の講義を受けた際に、you と出てきたらそれは読者に呼びかけているということだから「あなた」と明示的に訳出するのが良い、と教えていただいたことがあります。

読者に語り掛けることを優先するなら、上記ハイライトすべての「あなた」は残さないにしても、一度くらいは呼びかけてもよさそうです。

あなたが毎日欠かさず使うテクノロジーは、集中力をそいで、注意力を持続させないようにできているのである。

この文だと読者目線では指をさされて「あなた!」と言われているような感覚になり、ビジネス書の効果をより引き出せるかもしれません。

一方で文法書には、「一般人称のyouは基本的に訳されない」と書いてあります(DUAL SCOPE p. 414)。

確かに、日本語では主語を落とすことができるので、特に一般論の場合は「~するものである」「~なのである」など、主語がなくても語ることができますよね。

みなさんは一般人称の you の訳出に関してどう思われますか?

翻訳者の方々は、何を基準に一般人称の you を訳出するかどうか決めているのでしょうか。

文脈?著者の性格?文書のジャンル?自分(翻訳者)の感覚?

これからも勉強していく中で、プロの翻訳者の方々にもお話をうかがいながら答えを見つけていきたいと思います。

まとめ

二人称の you と一般人称の you の見分け方とその訳出方法について考えてみました。

you は英語を学び始めてきっと1日目や2日目に知る単語ですが、翻訳をするとなると色々と考えてしまいます。

訳出方法に関しては勉強の余地があるということで曖昧な結論となってしまいますが、この記事を読んでくださった人にとって、英語と日本語、あるいは翻訳という行為について、少しでも考える機会となっていれば幸いです。

アドバイスやご意見・ご感想など、ぜひ下記よりご連絡ください☺

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