はじめての社内通訳 すべてを失う1週間

eyecatch_interpreter 学び・気づき

突然ですが、この度オカムラは社内通訳者として働き始めました!
というわけで、体験談をちょっとお伝えしてみたいと思います。

タイトルの通りですが、実は入社後1週間で何もできなくなりました。馴染みのない分野に、聞き慣れない強い鈍りの英語、、、という壁が立ちはだかり、打ちひしがれてしまいました。

そんな時に通訳者さんのブログなどで駆け出しの頃の話を読んでみました。確かに初めての通訳は苦労したと皆さん書かれていますが、本人の自己評価はさておき、結局はクライアントさんが優しいとか満足してくれたと成功体験が多い印象でした。

確かに、上司は優しい言葉をかけてくれていましたが、私は成功した感覚はありませんでした。なので、いやいや、出鼻挫かれちゃう場合もあるよね😭?という思いを持った私のような駆け出しの皆さんの背中を押すことはできなくても、さすれたら良いなという記事です。

なんとなく楽しんでいただけたら嬉しいです。

転職の経緯

一言で言うと、頭が言葉でいっぱいになって窒息したので、転職しました。
少しクセが強い表現になりましたが、つまり、自分で訳したい、実践に挑戦したいという気持ちが高まったということです。以前の勤め先に不満などは無かったのですが、通訳や翻訳の「訳す」という行為から距離のある業務が多いのは事実でした。そういうわけで、転職エージェントのCMの言葉を借りると「変えるなら今だ」を実感し、いつもお世話になっている方々の後押しもあり、転職に至りました。

できなくなったこと

どんなことができなくなったかというと、次のようなことでした。

① 聞き取り
② ノートテイキング
③ 瞬時な訳出
④ お腹から声を出す

お恥ずかしいことに、通訳の基本中の基本であるにもかかわらず、上の項目に手も足も出ない感覚になりました。仕事だけでなく練習でも、通訳するとなると頭が真っ白になって少しパニックに陥る状態になりました。

そもそも力不足なのでは?と思われるかもしれませんね。確かにまだまだ伸び代しかないありません。ただ、第一線でご活躍されている通訳者の方にいつも指導していただいているのですが、その方から実践やっていこう!とGOサインをいただけるレベルではあることを前提に置いていただけると嬉しいです。

なぜできなくなった?

もちろん大きな理由としては、専門知識が足りないので、そもそも専門用語が理解できない…というところにあります。それを踏まえて、もう少し詳しく記録しておきたいと思います。

① 聞き取り
冒頭で書いたように、鈍りの強い英語に慣れていないことが理由のひとつです。通訳するのは、シンガポール人とアメリカ人との会議が多いのですが、いわゆるシングリッシュに苦戦しました。英語スキルの中ではリスニングに割と自信がある方だったので、これは少し精神的にきました。

シングリッシュの特徴として、文末に「ラ〜(lah/leh)」と付けることは有名ですね。
それ以外だと、単語の発音が省略されたり、/th/→「テ」系の音になったりします。
e.g. think→ティンク(むしろ「ティンッ」);I think→アィッティンッ
他にも特徴はたくさんあります。興味あるなぁという方はぜひ調べてみてください!

あとは、中国系の方が話すシングリッシュは中国語に近く聞こえるし、インド系の方のシングリッシュはインド訛りも混ざっているような気がします。というわけで、聞き取りが難しい理由は、慣れない英語は自分の知っている発音と異なるので、認識できないということだと思います。

② ノートテイキング &③ 瞬時な訳出
この2点が難しい理由は、原文を聞いてもイメージが湧かず論理関係が掴めないからです。学術的に言うと、「脱言語化(セレスコヴィッチ, 1978)できない」、「概念化(船山, 2020)できない」といった状態だと思います。この2つの考え方は全く同じことを意味しているわけではありませんが、めちゃめちゃ簡単に言うと、原文を聞いて、頭の中で情景を浮かべて、それを別の言語で伝えるということができなかったということです。

たとえ単語が拾えたとしても「だから何」が分からないので、うまくノートに落とせず、聞いている時から情景が浮かんでいないので瞬時に訳出もできないというわけです。

ましてや上司がすごく優しいので、「分からない単語とかあったら会議後に教えるから、メモしておいてね〜」なんて言ってくれるものなので、分からないことは全部メモしなきゃ!という意識が働きすぎたことも全体像や意図を捉えることができなかった理由のひとつです。

④ お腹から声を出す
これは単純な話で、性格と声質の問題です。どう訳せば良いのかよく分からないので、自信のある言い方できなかったことと声が通りにくいタイプということも相まって、腹から声を出すことができていませんでした。

克服するためにやっていること

できない!と打ちひしがれている場合ではないので、できることからやっていこうと下のようなことに取り組んできました。当たり前のことしかしていないのかもしれませんが、参考になれば嬉しいです。

シングリッシュで話されているラジオ(Podcastsなど)を聞く/YouTubeを観る(+シャドーイング)
e.g. 「YAH LAH BUT…」「Chillax」など(私は1.25倍、1.5倍で聞きます。)
慣れてくると、だんだんその発音に愛着が湧いてきて、かわいいなぁと思うようになってきました。
・その分野のラジオを聞く/YouTubeを観る(シングリッシュ以外の英語、日本語)
・その分野の「教科書」を自分で作る
⇒例えば、メーカーの場合だったら、同業他社でもなんでも良いので、企業のホームページの勉強用に提供されている情報を見ながら製造工程をノートにまとめる(日英)など

おわりに

焦燥感に駆られた1週間でした。
1ヶ月ほど経った今でも、当然できないことがたくさんあって、反省を繰り返す日々ですが、上司から「ちゃんと通訳できてるから、もっと自信持って!」など諸々ありがたいお言葉もいただけるようになりました。

できるようになるのか?と疑いたくなるほどちんぷんかんなこともたくさんあるので不安な日々は続きますが、1週間目にできなかったことが1ヶ月後にできるようになることもあります。だから、たぶん大丈夫。と自分に言い聞かせながら頑張っていきます。うんうん、わかるわ〜と思ってくださった皆さん、一緒に頑張りましょう!

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